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道しるべ 起

成人式

一般的に成人式というのは、成人する人たちとそれに関わる人たちのイベントだと思うのですが、在日社会の成人式はどの地域も本部や支部での一大イベントになっていることが多いです。私の住む地域も同胞新年会とともに行うので、たくさんの同胞に祝福される中、成人を迎えます。今年成人の子たちは、私にとって特別な存在です。直接教えた子たちではありませんが、赴任して初めて夏期学校をともにした戦友のような存在です。

夏期学校。ウリマルでは、ハギハッキョといい、日本学校に通う在日コリアンたちに夏休みの一定の期間だけ、ウリマルや朝鮮の歌、遊びなどを教える教室です。地域によって異なりますが、基本的には朝鮮大学校と朝鮮高校の生徒たちが講師をつとめ、朝青指導員がそれを指導、サポートします。

この地域には朝青指導員がいなかったため、数年間行っていませんでした。講師をつとめる子たちにとっても受講する子たちにとっても、貴重な体験になる夏期学校を何としても行いたく、半ば強引に開講しました。そのとき高校一年生だったのが、今年成人した子たちです。当時、2年生がいなかったので、高校生になったばかりの子たちだけで活動しました。クラブ活動をしながら受講案内を配布したり講義の準備をしたり、本当にがんばりました。その年は、講師と同じぐらいの人数しか集まりませんでしたが、次の年には前年の活躍が実り倍以上に増えました。受講生も大変喜んで大盛況でした。現在も夏期学校を運営していますが、彼らのがんばりがあったからこそ、継続できているのだと思います。だから、今年の成人式には特別な思いがありました。ただ、以前担任した教え子も同じ日に成人式があり、参加できなかったことが悔やまれてなりません。その子も私にとって特別な子だからです。