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月刊イオ 5月号に掲載されました。

 

月刊イオの「今日の恋バナ婚バナ」のコーナーの連載を5月号から4ヶ月間担当させていただくことになりました。
よかったら読んで下さい。

出会いの形―変わるもの、変わらないもの

携帯端末やインターネットの普及によって、私たちはさまざまな恩恵を受けるようになった。携帯電話がなかった頃は待ち合わせをするのも一苦労だったが、今は住所を送ったり、居場所を検索することもできるので、すれ違いなどのトラブルもなくなった。便利な世の中になったものだ。私が朝鮮大学校に在学していた時代に携帯電話があったら、異性を呼び出すために寄宿舎の前で「ミアナムニダ(すみません)コール」をする必要もなかったのに―。
情報通信機器の発達によって出会いの場も多様化してきた。インターネットやSNSを利用して、遠くにいる人ともコミュニケーションを取れるし、名前も顔も知らない人とも知り合える。先日、知人のある日本人の方がSNSで知り合った女性と結婚した。そういうことがあると噂には聞いていたが、実際に自分の身近で起きると少々驚きを感じずにはいられない。ひるがえって、在日同胞社会ではどうだろうか。このような例が実際にあるのなら、ぜひ一度話を聞いてみたい。
イオの読者のみなさんはどのようにして出会っているのだろうか。学生時代からの知り合い、知人の紹介、会社の同僚、お見合い…。在日同胞同士が出会う場合、このいずれかに当てはまるのではないだろうか。最近では街コンやサークルなど出会いの場を提供するイベントが数多く行われており、ウェブサイトも多数存在している。中には参加者が1000人を越えるものもある。それによって実際にどれほどの人々が出会い、結婚しているのか調べてみたいが、少なからず出会いの場は増えていることは間違いないだろう。
賛否両論あれど、ツールを利用することは決して悪いことではない。数年前から私は「ちみートーク」という同胞男女の出会いの場を運営している。同じ趣味(취미)やジャンルの人が出会い(meet)、会話(talk)を楽しもうという趣旨だ。会員は現在160人ほどになったが、そのほとんどがインターネット上でホームページを見つけて参加してくれているので、これもツールの恩恵を受けている例だと言えよう。
運営しながら実感したのは、在日同士の出会いを求めている同胞たちはたくさんいるということ。時代が変わったから同胞結婚を望んでいないというわけではなさそうだ。ただ、同胞の数が減っているのは事実だろう。学生時代は「70万在日同胞」という言葉をよく耳にしたが、最近は聞かない。この現実を指をくわえて見ていても何も変わらない。同胞結婚を望む人たちの出会いの場を少しでも増やしたい、その一心で「ちみートーク」を立ち上げた。ここで出会った人たちが交際、結婚、出産すれば必然的に同胞の数も増える。その子を朝鮮学校へ送ってくれたら、これほど嬉しいことはない。
次回からは、同胞男女の恋愛観や実際の出会いの場で垣間見たエピソードなども書いていきたい。